花の詩vol.27『クロモジ』(クスノキ科)

 「クロモジ」という木を、皆さんはご存知でしょうか?

 

実は、″つまようじの木″として知られている木なんです。

 

 クロモジの枝からは良い香りがするため、古来より楊枝に用いられました。和菓子をいただくときに添えられる、太くて硬い楊枝などがそれです。

 

 低地の里山でよく見かける木ですので、その点でも材料にしやすかったのかもしれませんね。

 

 

 若い幹・枝葉は黄緑色をしていますが、成長につれ褐色に変わります。スラッと細身の樹形になることが多く、あまり枝が込むこともありません。明るい日陰の適湿地を好みます。

 

 3~4年生のクロモジの枝を四つ割りにし、面を取って先端を削れば、香りの良い楊枝が簡単に作れます。

 

 また、その香りを生かして入浴剤の材料となっていたりもします。最近では、枝を割ってそのまま入浴剤代わりとして販売しているところもあるようです。

 

 クロモジは大きな落葉低木で、雌雄異株です。早春に黄緑色の小さな花をつけ、いち早く春の到来を告げてくれます。秋には球形の果実が黒くなります。

 

 病虫害としては、夏の乾燥時のハダニや、アブラムシによるスス病が挙げられます。ハダニの対策としては、ときどき葉裏に水をかけてあげると良いでしょう。スス病が発生すると葉が黒く汚れてしまいますので、早期発見・駆除が大切です。

 

 庭の主役ではありませんが、いぶし銀の名脇役となる木です。