花の詩vol.28『ブナ』(ブナ科)

 日本列島の北部冷温帯には、ブナ、ミズナラからなる落葉広葉樹林が分布しています。そこでは、多種多様な動植物が共存する生態系が形成されています。

 

 ブナの種には、ドングリやトチの実のような渋みや苦みがないのだそうです。そして、数年に一度、森の生き物たちが食べ尽くせないほどの種をまいて、子孫を繁栄させてきました。

 おびただしい数の実を落とす植物にとっては、すべてが発芽してしまっては困るので動物に食べさせます。かといって、すべて食べさせてしまっては自身の子孫が育ちません。そこで、数年に一度の大豊作の年に子孫を残します。そして、不作の年をつくって動物が増えてしまうことを防いでいるのだといいます。

 何と植物が動物の個体数をコントロールしているのだそうです。

 

 地味で目立たないブナの花が、雪国の生物多様性を支えていることに、自然の偉大さを感じずにはいられません。

雄花

雌花