花の詩vol.35『マツ』(マツ科)

 『マツ』とはマツ科マツ属の植物の総称です。

 

 日本原産のものは7種類(クロマツ、アカマツ、ゴヨウマツ、ハイマツ、チョウセンマツ、リュウキュウマツ、アマミゴヨウ)が知られています。

 

 我々が住む新潟県とマツとは、切っても切れない深い結びつきがあります。

 

 新潟は海岸線が長く、強風による飛砂の被害を受けやすいのです。それを防ぐため、新潟の海岸沿いでは古くからマツが植えられてきたのです。砂地でも育ち、冬でも葉を落とさず、塩害・寒風害に強く、樹高が高くなる(風を防ぎやすい)マツは、防風林に最適だったのです。

 

 また、マツは正月に飾る門松にも欠かせません。前述した通り冬でも葉を落とさないマツは、健康・長寿を表す縁起物なのです。

 

 タケ(早くまっすぐ伸びるタケは、生命力や心の誠実さを表す)、ウメ(寒い季節に他に先駆けて咲くウメは、出世の象徴)と共に『松竹梅(しょうちくばい)』と呼ばれます。

 

  

 ~み吉野の 玉松が枝(え)は 愛しきかも 君が御言を 持ちて通わく~

 

 万葉集にあるこの歌は、額田王(ぬかたのおおきみ)から弓削皇子(ゆげのみこ)に贈られたものです。

 

 額田王の長寿を願い、吉野から玉松の枝を送った弓削皇子に対し、『玉松の枝のなんと愛しいことでしょう。あなたの言葉(思い)を届けてくれるなんて』と、返しています。