花の詩vol.51『ヒメユリ』(ユリ科)

 ヒメユリは、中国、朝鮮半島および日本を原産とするユリの仲間です。

 

 開花時期は6~7月。花の大きさは5~8cmと、他のユリよりも若干小ぶりではありますが、鮮やかなオレンジ色は見る人を惹きつけます。

 

 また、星形に花が開くことから、英名では『スターリリー』と呼ばれるそうです。

 

 日本では、東北地方から九州地方まで、自生しているものを見ることができます。沖縄には自生しておらず、沖縄県の『ひめゆりの塔』とは特に関係は無いそうです。

 ヒメユリは、分布する地域によって開花時期、球根の形状や性質、草丈などが異なります。そのため、チョウセンヒメユリ、ミチノクヒメユリ、トサヒメユリ、キヒメユリなど、いくつかの変種が存在しています。

 

 

 夏の野の 茂みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ (大伴坂上郎女)

 

~夏の野の茂みに(誰にも知られず)咲いている姫百合のような、相手に知られない恋は苦しいものです。~

 

 

 前述したとおり、ヒメユリは鮮やかな花ではありますが、花は小ぶりで草丈も30~100cmと、決して大きくはありません。場所によっては他の夏草に隠れてしまいます。

 

 大伴坂上郎女は、そんなヒメユリの姿を人知れず恋心を抱く女性の姿に重ねたのですね。