花の詩vol.54『ナナカマド』(バラ科)

 ナナカマドはバラ科の落葉広葉樹です。

 

 秋になると赤く色づく果実や紅葉する姿が美しく、庭木として人気があるだけでなく、北海道や東北では街路樹にも用いられてきました。

 

 開花時期は5~7月。白く小さな花を多数咲かせます。

 

 その後、鮮やかな緑色の実をつけ、時期が進むにつれて、緑→黄→赤と実の色が変化していきます。

 独特な葉の形態も、ナナカマドの特徴です。この形態は「奇数羽状複葉」と呼ばれるものです。

 

 羽状複葉とは、葉軸の左右に小葉が羽状にならぶ葉の形態を言い、さらに先端にも1枚小葉がつくものを奇数羽状複葉と言います。

 

 また、ナナカマドの実にはソルビン酸という物質が含まれます。ソルビン酸には、カビ等を抑制する効果があり、食べ物の保存料に使われています。

 

 これにより、ナナカマドの実は腐りにくく、冬に落葉しても鮮やかな赤い実が枝に残りやすくなります。

 

 新緑の時期から花期、実の色の変化、紅葉、落葉後に残る赤い実。と、変化を繰り返しながら見る人を楽しませてくれるのも、ナナカマドの魅力と言えます。

 

 ところで、先日このナナカマドについて、気になる記事を目にしました。

 

 新潟でも愛されてきたナナカマドですが、温暖化により気候が合わなくなり、東北地方ですら暑さで枯れることが増えてきている、というのです。

 

 この記事は、我々にとって非常にショッキングなものでした。

 

 温暖化により、これまで慣れ親しんできた庭木が使えなくなる。美しい姿が見られなくなる。というのは悲しいものです。

 

 “持続可能な社会”を目指した取り組みに、今後、より一層の力を入れていかなければなりません。