
ヒメシャラとは
箱根以西の本州(中国地方を除く)、四国及び九州の山地に分布するツバキ科の落葉高木になります。
樹皮や初夏に咲く控えめな花の雰囲気が好まれ、古くから庭木として使われています。新緑や紅葉も美しく、明るい雰囲気を持つことから、近年ではシンボルツリーとして、一般家庭の玄関付近に植栽されるようなりました。
ヒメシャラとシャラノキ(ナツツバキ)がありますが、ヒメシャラはシャラノキよりも花や葉が小さいことが特徴です。
開花は5~7月で、葉の付け根から生じた花茎に直径1.5~2センチの白あるいは薄ピンク色の小花が下向きに咲きます。花の形はツバキに似ていますが、花弁はより薄くて小さく、少し雰囲気は異なります。
若い木の枝はジグザグ状に伸びますが、樹齢を重ねると枝は上へ伸び、樹形全体としては箒を逆さにしたようになります。幹は直立し、若木の樹皮は赤褐色でツルツルしているが、次第に灰色っぽい模様が出て樹皮がまだらに剥離します。また最終的には、再度赤褐色になります。別名のアカラギはこの色によるものです。
成木の樹皮はサルスベリに似た触感があり、地方によっては本種をサルスベリと呼ぶこともあるそうです。幹の美しさからヒメシャラはアオギリ、シラカバと並ぶ、「日本三大美幹」と称されています。木材も赤褐色で硬く、彫刻、器具、床柱に使われています。
ヒメシャラの育て方について
性質はナツツバキとほぼ同じですが、天然分布の北限は箱根になります。新潟では寒冷地である山間部を除けば問題なく生育します。本来は栄養豊富で湿気のある山地に自生するため、土が合わないとうまく育たないこともあります。植える場所には腐葉土を漉き込むなどして土壌改良を施します。
幹は直立し、放任しても整った樹形になります。自然樹形を楽しむ木であり、剪定は必要最低限で済みます。また、花はその年に伸び枝に咲くので、花を楽しむなら春から初夏にかけての剪定は避けた方が良いです。
日なたを好みますが、根が浅く乾燥しやすいので、夏の強い日差しや西日は苦手としています。乾燥すると葉焼けを起こすため、根元に下草を植えるなどの対策が必要になります。花木としては日陰に強い方になります。
ツバキやサザンカ同様に、チャドクガの被害に遭うことがあります。春から初夏にかけて特に葉の裏を観察し、卵の段階で早めに除去するのが望ましいです。
幹はナツツバキよりも美しいとされています。お庭に1本赤褐色の幹があると、一段とお庭が美しく映えることでしょう。

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